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院長コラム:血液さらさらを考える(4)

血液さらさらを考える(4)

今回は抗凝固剤について考えて行きます。以前も書きましたように心房細動などの不整脈や、心機能が低下したりすると心臓内に血液がうっ滞して、心臓内(左心房)に血栓を作ることがあります。右の図のように、心臓内に血栓ができますと心臓の拍動によって左心室から脳や全身の血管に血栓が飛び、脳であれば脳梗塞、末梢の血管であれば動脈閉塞により諸症状を呈します。その血栓を防止するのが抗凝固剤の役割となります。

心房細動が原因でおこる脳梗塞は心原性脳梗塞と呼ばれ、脳梗塞の中でも大変予後が悪いことで知られています。亡くなられた小渕首相や、右片麻痺・失語症が残存している長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督もこのタイプの脳梗塞をおこされています。

心房細動の有病率は下のグラフのように60歳を境に増加し、80歳以上では10人に1人が心房細動があると言われています。ですから心原性脳塞栓症の割合も増加しています。

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心房細動のような不整脈でおこる心臓内の血栓をできないようにする薬がワーファリンを代表とする抗凝固剤です。ワーファリンという薬は昔からある大変いい薬ですが、いくつかの注意点があります。

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  1. 効果が変動しやすいので、定期的に血液凝固能検査(PT-INR)を行い、その都度服用量を調節する必要があります。
  2. ビタミンKを多く含む食物(納豆、クロレラ、青汁、モロヘイヤ)は、ワーファリンの効果を弱めるためにワーファリン内服中は禁止されています。
  3. 他の薬との飲み合わせの問題があるので、薬を新規で処方される際には注意が必要です。