タバコをやめよう
タバコをやめよう(5)
タバコの害について患者さんに説明すると、必ず「私は1mgの軽いのを吸っているから・・・」と言い訳される患者さんがいます。これは実はあまり意味がありません。喫煙は、いろんな病気の危険因子になることは今まで書いてきましたが、タールやニコチンの量が少ないと、そのような病気になりにくいという報告が一切ないからです。以前にも書きましたように60種類以上の発がん性物質や4000種類以上の化学物質がタバコの煙の中に含まれているため、喫煙の害はタバコを吸うという行為・及び習慣が問題であって、タールやニコチンの量が問題ではないからです。
タバコの銘柄 | 表示量 | 実際量 |
---|---|---|
マイルドセブン・スーパーライト | 5 | 11.7 |
マイルドセブン | 9 | 12.5 |
セブンスター | 13 | 12.4 |
キャスターマイルド | 4 | 12.9 |
ラークマイルド | 7 | 11.5 |
ケント1 | 1 | 11.2 |
フロンティアライト | 1 | 6.9 |
パーラメント | 8 | 12.5 |
ハイライト | 14 | 14.5 |
ピース | 24 | 23.9 |
フィリップモリス | 1 | 9.5 |
ネクスト | 1 | 12.7 |
また、少しデータは古いのですが、2001年に北里大学薬学部の福本眞理子先生の発表されたデータ(上の図)によると、日本たばこ産業が表示しているニコチンの量と実際タバコを吸って測定したニコチン量には開きがあると言われています。
一般的には、日本たばこ産業のニコチンの表示量が高いタバコは、実際量と大きな変化はありません。一方、表示量が少ないタバコでは実際量は表示量より明らかに高い数値を示すというデータになっています。
なぜ表示量と実際量が違うのか?ということですが、日本タバコ産業によるニコチンの測定値は自動喫煙機という機械によって測定されたものです。人が普通に吸うのとは少し違いがあります。また、表示量の多いタバコと少ないタバコでは、紙に巻いているタバコの葉自身には大きな違いがありません。違いは表示量の少ないタバコでは、フィルター部分に空気孔がたくさんあいていて、タバコを吸う際にたくさんの空気が入ってタバコの煙が薄められます。そのために自動喫煙装置で測定されるニコチン/タール量は少なくなるという仕掛けになっています。しかし、実際にタバコを吸う際には、空気孔を全部塞がないようには吸わないので、自動喫煙期より空気で薄められることが少なく、表示量よりたくさんのニコチンを吸い込むことになるため、表示量と実際量に差ができることになります。