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院長コラム:脊椎圧迫骨折について

脊椎圧迫骨折について

日本人男性の平均寿命は79歳、女性は86歳での長寿国となり、男性の21%、女性の44%が90歳まで生きる時代となっています。

一方、高齢者の増加に伴って、要介護や寝たきりが社会的にも深刻な問題となっています。骨折は脳卒中、老衰に次ぐ寝たきりの原因の第3位であり、介護原因の12%を占めています。

今回のテーマである脊椎圧迫骨折の有病率は非常に高く、下のグラフに示していますように70歳以上の女性では20%を越え、80歳以上の女性では40%を越えています

院長コラム:脊椎圧迫骨折について

脊椎圧迫骨折は、一度圧迫骨折をおこすと将来的に女性では3倍、男性では4倍脊椎圧迫骨折の危険性が増えるという報告もあります。これは、いったん脊椎骨折をおこすと姿勢の変化が生じ、脊椎周辺の筋肉の緊張がおこって、新たな脊椎骨折をおこしやすくなるためです。

脊椎圧迫骨折をいったんおこすと日常生活労作(ADL)や生活の質(QOL)が低下します。骨折により全身的にも背部にも機能障害がおこり行動が制限されるからです。死亡率にも差が出ることも報告されていて、オーストラリアの研究では脊椎圧迫骨折後には死亡率が1.8倍高まったと報告されています。

近年、日本人の体格は大きくなり、それに伴い骨密度は増加しています。そのために骨粗鬆症の割合や脊椎圧迫骨折の割合は減少しています。しかし高齢者が増加しているために骨粗鬆症患者さんや脊椎圧迫骨折の患者さんの数は増加しています。骨粗鬆症を予防して、脊椎圧迫骨折をおこさないように注意が必要です。

脊椎圧迫骨折の例

院長コラム:脊椎圧迫骨折の例