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院長コラム:便秘について(1)

便秘について(1)

便秘とは誰しもが一度は経験したことのある症状で、便通の回数や排泄量等の減少をさします。日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感が残る状態」となっています。便秘では固い便を排出することが多いのですが、稀には下痢や軟便の状態でも便秘になることもあります。

便秘をおこす原因には様々なものがあり、表1に便秘をきたす主な疾患をあげています。

表1.便秘をおこす疾患

  • 悪性腫瘍:大腸癌
  • 代謝異常:低K血症・高Ca血症
  • 内分泌疾患:甲状腺機能低下症
  • 精神疾患:パーキンソン病・脳血管障害・うつ病・統合失調症
  • その他:妊娠・うっ血性心不全

現在の日本は、食事の欧米化や高齢者の増加とともに大腸癌が増加しており、便秘症状が現れた場合には大腸癌の除外を行うことが最も大事な問題です。

またお薬による二次的な便秘も少なくありません。表2に便秘の原因となる薬をあげています。抗コリン薬、抗うつ薬、抗不安薬は比較的使用頻度の高い薬剤です。思い当たる薬剤を内服されていて便秘で悩まれている場合には、担当の医師や薬剤師に相談されてみてください。

表2.便秘の原因となる薬剤

  • 抗コリン剤
  • 抗うつ薬
  • 抗不安薬
  • 精神病薬
  • パーキンソン病薬
  • 鎮咳薬
  • 麻薬

便秘の種類

便秘には様々な種類があります。主な便秘の種類を述べていきます。

(1)弛緩性便秘

食事量・食物繊維の摂取不足、運動不足、加齢、経産婦、臥床者などが原因になる便秘で、腸管への機械的刺激が不足し、腸の蠕動運動が低下します。その結果、腸の内容物が大腸に貯溜し必要以上に水分が吸収され、少量の硬い便が形成される。

(2)痙攣性便秘

精神的ストレスや過敏性大腸炎症候群に代表される便秘で自律神経失調により下部大腸が過度に痙攣性の収縮をするために、腸管内膜が狭くなり大腸内容物の輸送に時間がかかる。便は硬く少量で、時に兎糞状を呈する。

(3)直腸便秘

多忙、環境の変化、疼痛、不規則な生活などにより便意が繰り返し抑制されたり、下剤や浣腸の乱用などによっておこる。これは直腸内圧に対する感受性が低下し、直腸内に便がたまっても便意を生じなくなるためにおこる。

次回は便秘時の一般的な対処法、生活習慣についてのアドバイス、下剤の種類や使用方法・注意点などについて説明していきます。