池田脳神経外科TOP > 院長コラム:薬物乱用頭痛について
薬物乱用頭痛について
薬物乱用頭痛とは読んで字のごとく鎮痛剤の飲み過ぎでおこる頭痛です。「何それ~?」と思われる方も多いと思いますが、実はこのタイプの頭痛が今どんどん増え続けています。
頭痛にはいろんな原因があります。例えば肩こり・首こりが原因でおこる緊張型頭痛や先月お書きしました片頭痛は血管の急激な拡張でおこる頭痛です。薬物乱用頭痛とは、もともとはそれぞれの頭痛があって、それに対してどんどん鎮痛剤を内服していくために、頭痛がおこる回数が増えて、頭痛の程度もひどくなる頭痛です。
一般的には鎮痛剤を1ヶ月に15回以上内服していて、それが3ヶ月以上持続しているようであれば、薬物乱用頭痛が疑われます。昨今は各地にドラッグストアができて、簡単にかつ安価に鎮痛剤を購入できるという環境も、このタイプの頭痛を増やしている原因の一つだと思われます。
薬物乱用頭痛になる患者さんの多くはもともと片頭痛の患者さんです。片頭痛に対しての適切な診断や説明、内服の仕方などについて十分な知識があれば薬物乱用頭痛になることはないのですが、薬物乱用頭痛患者さんの多くは、自分がどんな頭痛で、どんな治療が必要かもわからないまま、やみくもに鎮痛剤を飲み続けている人が殆どです。
市販されている頭痛薬は本来頓服が基本ですが、薬物乱用頭痛の患者さんの中には朝・昼・夕・寝る前と定期的に毎日1日4回内服されている患者さんもいてビックリさせられます。
もちろん、そのような患者さんの中には、このまま鎮痛剤を飲み続けていいのかという不安を抱えている人も多くいらっしゃるのも事実ですが、年齢が若い人に多いために、よほど頭痛がひどくない限り医療機関を受診されるまではいたらないことが多いようです。
何れにしましても、頭痛の頻度が多く外出時にも頭痛薬を手放せないような患者さんでは薬物乱用頭痛(もしくは片頭痛)の可能性が十分あります。今までに一度も医療機関を受診されていらっしゃらないケースでは、ご相談になられたほうがいいと思われます。