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血液さらさらを考える(1)
2000年頃から盛んにテレビで、器械に血液を流して血液さらさらだとか、どろどろだという番組がよくあっていたことを記憶されていますか?!あれはMC-fanという計測機器を使って左下のような状態であれば血液さらさら、右下のような状態であれば血液どろどろなどと呼び、テレビでおもしろおかしく取りあげていました。
最近、このような計測機器を使った番組をテレビで見ることがなくなりました。
理由は大きく2つあります。1つは、このような検査を違法に行い、磁気マットやネックレスなどを強引に購入させるといった詐欺が横行したことです。
もう1つの理由は、このような計測機器を使ってサラサラ血液であってもドロドロ血液でも、特定の疾患(心筋梗塞・脳梗塞など)との関連性がないからです。
私の専門でもあります脳卒中の領域で、この計測機器を使ったきちんとした研究や論文など一度も拝見したことがありません。また、この計測機器を販売しているメーカーのホームページにも、特定の疾患との関連性がないことが明記されています。そのような理由でテレビでもとありあげられなくなったものと推測します。
我々医師や薬剤師はバイアスピリンやワーファリンなどといった抗血小板剤・抗凝固剤などをわかりやすく患者さんに説明するために「血液をさらさらにする薬」などと表現することがたびたびありますが、上記のような計測機器で言われるような「サラサラ血液」とは全く次元の違う話と考えていただいていいと思います。
我々医師が治療として血液さらさらになる薬を使う疾患としては右の図のように脳梗塞・心筋梗塞・狭心症・閉塞性動脈硬化症などといった血管が閉塞することによっておこる病気の治療または予防のために用います。それぞれの疾患や病態によって薬の使い方は異なります。
次号では、それらについて説明していきたいと思います。