池田脳神経外科TOP > 院長コラム:慢性硬膜下血腫について
慢性硬膜下血腫について
頭を打撲した直後は元気でピンピンしていた人が、打撲して1~2ヶ月程経過してから調子が悪くなって手術をうけるというケースが時々みかけられます。これは60歳以上の男性に多くみられ、頭蓋骨と脳のすき間に血液が貯まる病気(=慢性硬膜下血腫)がおこった事によるものだと思われます。
まず頭部打撲の程度ですが、意識をなくすほどの激しい頭痛ではないことが殆どで、打ったことさえ記憶してないこともあります。それから1~2ヶ月程してから、ゆっくりとした経過で
- 頭痛がでてきたり
- 片側の手足に力が入りにくかったり
- 家族の方がみて以前よりボンヤリしてきたり
- 認知症のような症状が出現したりしてきたり
このような症状が出現してきた場合には慢性硬膜下血腫という病気になられた可能性があります。
実際の症例
実際の症例を呈示します。 71歳 男性 職業:植木屋3/16つつじの木を剪定中に斜面から転落し頭部~顔面を打撲する。
その際は顔面の腫脹のみで頭部CTでも異常所見はなかった。
5月初旬から頭痛が徐々に出現し、右上肢の力が入りにくくなり5/11来院。頭部CTにて慢性硬膜下血腫が認められ、同日手術(局所麻酔・20分程度)を行い、5/18自宅退院となった。
このように比較的に簡単な手術で速やかに改善する病気です。軽微な頭部打撲の受傷後に上記のような症状があれば、速やかに受診されることをお勧めします。