池田脳神経外科TOP > 院長コラム:耳鳴り(1)
耳鳴り(1)
耳鳴りとは「周囲の音と無関係に耳あるいは頭の中で音が聞こえる」状態を呼びます。実際には、周りには聞こえない音が頭や耳の中で音として感じれば耳鳴りと呼んでいます。
耳鳴りは大昔からある病気のようで、紀元前1600年のエジプトでは、耳鳴りの治療で薬液を耳に流し込む絵がパピルスに描かれています。
耳鳴りの頻度については、まとまった報告がありませんが人口の約10-20%程度が感じた経験があると言われており、年齢があがるに従って割合が増えるものと思われます。常時耳鳴りを感じているのは人口の約5%と推測されています。
耳鳴りがおこるメカニズムについては、いろんな意見があり定まったものがありません。耳鳴りは「耳からの音の信号が異常になることで脳の中で発生している」と言われています。
メカニズムについては関谷先生のラジオの例えがわかりやすいので、それで説明いたします。
(1)正常なラジオ(耳鳴りのない人)
正常に機能していると電波がきちんと届いて、音楽が流れてきます。
(2)壊れたラジオ(耳鳴りのある人)
アンテナが壊れたラジオからは、音楽が流れず「ザーザー」という雑音が流れてしまいます。
この場合のアンテナが耳で、ラジオ本体が脳だと考えてください。アンテナ(耳)の不具合のため耳からの信号が十分届かないために脳が自分で音を作り出して耳鳴りが聞こえてしまうと考えられています。
もちろんアンテナ(耳)が壊れた時だけでなく、ラジオ(脳)本体が壊れた場合にも耳鳴りが発生することもあります。頻度としてはアンテナ(耳)が壊れた割合が圧倒的に多いと言われています。
耳なりがおこる代表的な病気としては
●加齢による難聴(老人性難聴) ●メニエール病 ●耳硬化症 ●聴神経腫瘍
●突発性難聴 ●交通事故 ●薬物性耳鳴 ●血管性耳鳴 ●額関節症
●筋肉のけいれん ●遺伝性 ●飛行機や登山時