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院長コラム:インフルエンザについて

「インフルエンザは風邪ではありません!」

インフルエンザはその名前のとおりインフルエンザウイルスが原因で急に38~40度の発熱があり、加えて倦怠感・筋肉痛・関節痛などの全身症状が強くでる病気で、これらの激しい症状が通常5日間ほど続きます。一方、風邪はライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなどが原因で鼻・咽頭・気管支の症状(鼻づまり、鼻水、咽頭痛、咳、くしゃみ、痰など)が前面にでて、インフルエンザのような高熱がでないのが特徴です。

二つの病気は症状だけでおおまかに区別可能です。最近、インフルエンザは外来でノドや鼻などの粘膜をこすりとって検査する方法(約10分)で簡単に診断できるようになりました。

数年前にタミフルという特効薬がでて注目をあびました。しかし、その後タミフルを投与された乳幼児に異常行動をおこす問題もあって、原則小児への投与が禁止されました。また1997年(平成9年)には鳥インフルエンザに感染した男児が死亡したり、鳥インフルエンザの変異型である新型インフルエンザの問題もあり、インフルエンザは身近な脅威になりつつあります。

院長コラム:インフルエンザについて

そんな中、本格的なインフルエンザシーズンを前に当院をはじめインフルエンザワクチンの予防接種が行われています。高齢者では公費負担もありまして、免疫力が弱いとされている高齢者や乳幼児ではインフルエンザワクチンの予防接種が勧められています。

小中学校でのインフルエンザワクチン集団予防接種は1962年(昭和37年)から始まりました。しかし、予防接種の効果が不確実であるということと、予防接種の副作用があいついだこともあって1994年(平成6年)に予防接種法が改正されて集団予防接種は行われなくなりました。

予防接種の必要性

ではインフルエンザの予防接種は受ける意味はないのでしょうか?

日本の内科の先生方を中心に2002年~2003年の冬の時期に予防接種を受けた患者さんと受けなかった患者さんでインフルエンザにどれくらいかかったかを調べたデータがあります。

  • 予防接種を受けた患者さんのインフルエンザ発生率 1.9%
  • 予防接種を受けなかった患者さんのインフルエンザ発生率 5.9%

ということはたった4%しか違わないと思うか、発生率が3倍違うと思うかは皆さんが自由に判断していただければと思います。ただ確実に言えることは予防接種をしておいたほうがインフルエンザになりにくいというのは間違いありません。予防接種を行うか行わないかは最終的に個人の判断になりますが、下記のような患者さんにはお勧めしています。

  • 高齢者・乳幼児
  • 心臓・呼吸器などに病気をもっている方
  • 出産間近の妊婦さんや乳幼児がいる家庭の方