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院長コラム:しびれ(1)

しびれ(1)

しびれという言葉は、患者さんによって手足の動きにくさ(麻痺)をしびれと呼んだり、痛み(中枢性疼痛)を呼んだりすることもあり、使い方が大きく異なります。簡潔に答えることが大変難しい症状の1つです。ここで言うしびれとは、感覚の障害が生じた時におこる症状で、具体的には「ジンジン」・「ピリピリ」・「ビリビリ」といった異常感覚や「厚ぼったい」・「触った感覚が鈍い」・「紙1枚間に挟まった感じ」などの症状を呼びます。

院長コラム:しびれ(1)

外来ではいろんな「しびれ」を訴えてこられる患者さんがいらっしゃいます。しびれを来す疾患はたくさんあり、大きく分けてa)脳疾患 b)脊椎・脊髄疾患 c)筋肉疾患及び関節症状 d)その他に分けられます。

千葉大学病院総合診療部における「しびれ」の原因疾患上位6疾患は、(1)坐骨神経痛(20.4%)(2)頸椎症(19.8%)(3)手根管症候群(15.1%)(4)うつ病(14.1%)(5)不安障害(6.3%)(6)糖尿病性末梢神経障害(5.7%)と精神疾患が上位に2つ入っているように、疾患が多岐にわたっています。我々治療する側は、それぞれをいかに鑑別していくかが大事なポイントであり、その中でも問診が一番大切になります。

しびれの問診で大事なポイントは1) 性状 2) 分布 3) 時間経過です。

1) 性状

具体的にどのように感じるか? 陽性現象(痛い・チクチク・針で刺される・燃える・電気が走るetc.)と陰性現象(感覚が鈍い・手袋,靴下をはいている・麻酔をかけられているetc.)があります。陰性症状は比較的に症状が表現しやすく、陽性症状は表現しにくいようです。

2) 分布

分布の仕方は原因を確定させる上で大事になります。しびれは大脳・脳幹・頸椎・腰椎・末梢神経・筋肉・その他の原因で症状を呈します。それぞれの障害部位によって特徴的な分布を示します。ご存じのように脳卒中によるしびれは、顔面を含む場合と含まない場合がありますが、何れか片側の半身に症状を呈します。両足にしびれがあれば、それは腰椎からの症状と推測されます。

3) 時間経過

時間経過としては突然症状が出現したのか、そうでないのかは重要です。突然であれば脳卒中や外傷などの疾患を考えることが多いからです。

また進行性か非進行性かも極めて重要です。進行が早い疾患としては悪性腫瘍によるしびれは進行性に悪化します。また、症状が1日中続くのか(持続性)、1日の中で時々おこるのか(間欠性)も大変重要な問題になりますし、日内変動(1日の中での症状の推移)がある疾患もありますので注意が必要です。