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院長コラム:神経難病

神経難病

神経難病とは日本神経学会のホームページによりますと「神経の病気の中で、はっきりとした原因や治療法がないもの」を神経難病と呼びます。

具体的には運動ニューロン病(筋萎縮性側索硬化症・脊髄性筋萎縮症 etc)
脊髄小脳変性症(脊髄小脳萎縮症・多系統萎縮症 etc)
多発性硬化症重症筋無力症パーキンソン病進行性核上性麻痺

このような病気を総称して神経難病となどを呼びます。

原因がわからないといっても途中まではわかっているものや、根本的に治すことは難しいけれども、日常生活が可能になるような治療があるものもあります。神経難病といっても治療が有効なものと難しいものがあります。直接治療法がなくとも医療がかかわることで少しでも生活しやすくすることはできます。

下記に示しますのが、それぞれの神経難病の頻度です。報告者によって少しばらつきがありますが、やはり聞きなじみのあるパーキンソン病が圧倒的に頻度が多いようです。ここでも高齢化の波を受けて高齢者の神経難病患者が増加しています。

1. パーキンソン病 100-150人/10万人
2. 脊髄小脳変性症 5-10人/10万人
3. 筋萎縮性側索硬化症 1-2.5人/10万人
4. 重症筋無力症 11.8人/10万人
5. 多発性硬化症 8-9人/10万人
6. 進行性核上性麻痺 11.4人/10万人

これらの疾患は国指定の特定疾患であり、医療費の助成制度があります。診断の確定だけでなく、一定の基準を満たす患者さんであれば、診断書を作成することで、医療費の助成をうけることが可能になります。

当院でも外来で上記の疾患で受診されるケースがあり、特定疾患の申請を行うことがあります。

上記の神経難病では、圧倒的にパーキンソン病の頻度が多いために研究者も大変多く、薬の開発も積極的で近年新しい薬が次々発売されています。また京都大学では、ノーベル賞をとったiPS細胞を使ってパーキンソン病の治療を行うことが決定しています。このiPS細胞を使った治療がうまくいきますと、一気にパーキンソン病の治療が変わってくることが考えられます。

一方、パーキンソン病以外の神経難病では頻度も多いとは言えず、研究者も多くないために、新しい薬の発売もない状況が続いています。パーキンソン病でのiPS細胞を使った治療がうまくいけば、これらの神経難病にも応用される可能性も高いために、これからの経過が注目されます。

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iPS細胞