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院長コラム:神経難病(5)

神経難病(5)

2005年10-12月にかけてフジテレビ系列で放映されたドラマ「1リットルの涙」の主人公「池内亜矢」役の沢尻エリカさんに発病した難病が脊髄小脳変性症です。

脊髄小脳変性症は、運動失調(ふらつき)を主な症状とする神経疾患の総称で、小脳及び脳幹から脊髄にかけての神経細胞が徐々に破壊、消失していく病気です。

1986年の調査では人口10万人あたり5-10人の割合で発症するといわれ、日本では約2万人の患者さんがいると推計されています。

非遺伝性(60%)遺伝性(40%)に分けられます。様々な病型があり、病型によっても症状が異なりますが、発症は30-40歳前後が多く、緩徐に進行する小脳性運動失調(ふらつき)・振戦(手の震え)・構音障害(呂律が回らない)などの症状で発症すると言われています。症状の進行には個人差が大きく、一般的には緩やかな進行ですが、比較的に進行が早い人もいます。

診断は、特徴的な上記のような臨床症状とそれに合致する画像所見や、家族歴などで似たような症状の人がいれば遺伝子検査などを行い確定します。

MRI検査では、左の正常画像では黄色い矢印の小脳が萎縮していないので小脳のシワが見えにくい状態ですが、右の脊髄小脳変性症では同じ黄色い矢印の小脳のシワが非常に見えやすい状態となっています。小脳が萎縮するのでシワが見えやすくなるわけです。

院長コラム:神経難病(5)

治療ですが、ここはどの神経難病でも共通ですが根治することはできません。上記に示すセレジストという薬が病状の進行を遅らせる効果があるために、内服していただきます。また、リハビリテーションも有効ですので継続して筋力維持やバランス感覚の維持を行っていくことが必要です。

病気の経過としては発症から5-10年で寝たきりとなり、最終的には感染症で亡くなることが多いようです。