池田脳神経外科TOP > 院長コラム:しびれ(4)
しびれ(4)
前々回から「しびれ」の各論に入り、前回はb)脊椎疾患からのしびれで、中でも頸椎からのしびれについてお届けしました。今回はb)脊椎・脊髄疾患の中でも腰椎によるしびれについて説明していきたいと思います。
腰椎疾患からのしびれで一番大事なことは、「腰から下にしか症状がでない」と言うことです。ですから上肢のしびれは腰が原因になることはありません。また両足のしびれは頭からおこることは殆どなく、通常は腰椎病変によって引き起こされると考えていいと思います。
例えば上のイラスト1で示しましたように腰椎椎間板ヘルニアにより脊髄や神経が圧迫され、イラスト2で示しますように右側優位に椎間板が突出すると、イラスト3で示します右足の後面を中心に痺れがでてくることがあります。もちろん中心部でヘルニアが突出しますと両側の足にしびれをきたすこともあります。椎間板の突出した部位によって症状の出方は異なります。内側に症状が強くでたり、外側に症状が強く出たりすることもあります。
このような場合には、まず安静にしていただき鎮痛剤・筋肉の緊張をとる薬・湿布などを使いまして、しばらく経過観察するだけで徐々に症状が経過していくことが多く見られます。もちろん、そのように対応しても症状が改善しない場合には手術を行うこともあります。従来から行われているLove法という方法で手術を行ったり、最近では内視鏡下で低侵襲に手術で行うケースもあります。内視鏡下手術は、傷も小さく、痛みが少なく、リハビリ期間も短くなるというメリットがありますが、全ての手術で行えるわけではありません。
症状が始まった時から手術までの期間にもよりますが、手術によって椎間板が摘出され、脊髄や神経の圧迫が取れればしびれは徐々に改善していくことが多いようです。