池田脳神経外科TOP > 院長コラム:てんかんについて(6)
てんかんについて(6)
てんかん治療の目的は、てんかん発作を抑制することです。治療は抗てんかん薬という薬を使う薬物療法が主体となります。抗てんかん薬はてんかん自体を治癒させるものでなく、発作を抑制して頻度を減らし、できれば完全に抑制することになります。
てんかんの薬物療法の原則は
(1)単剤投与(できるだけ1種類の薬で治療する。)
(2)血中濃度を採血して、有効範囲に入っていても抑制できない場合には薬を変更する。
(3)単剤でコントロールできない場合には、複数の薬剤を使用する。
抗てんかん薬は決められた薬剤を決められた量毎日服用し、採血にて定期的に血中濃度を測定しながら行います。薬剤によってそれぞれ有効な血中濃度があり、体調や時期によっても同じ薬を同じ量内服していても異なることが多いので、定期的に測定する必要があります。
抗てんかん薬は発作の型にあわせて処方するのが一般的で学会が示すガイドラインに沿って薬剤を選択し、患者さんの体重を考慮して投与し、血中濃度を測定しながら投与量を最終的に決定していきます。
また大変稀ですが外科的に治療するケースもあります。それは年齢が15歳以上で、長期に薬物療法を行っているがてんかん発作が十分コントロールされておらず、また手術を行うことでてんかん発作の改善や消失が得られるケースなどで行われます。実際の患者さんの例をお見せします。
24歳男性 診断:側頭葉てんかん(治療歴12年・発作頻度:8-10回/月・3薬剤投与中)
この患者さんは、てんかん発作に悩まされていましたが、手術(右の写真の○で囲んだ部分)で原因の側頭葉を摘出し、発作は激減し薬剤も1種類となりコントロール良好となりました。