池田脳神経外科TOP > 院長コラム:腰痛について(2)
腰痛について(2)
腰椎椎間板ヘルニアの好発年齢は30~60歳代で、男性に多い疾患です。発症要因としては大部分は不明で、患者の体格・体重・職業とも相関がみられていません。そのため日常動作のあらゆることがヘルニアの誘因となると考えられています。また最初漠然とした腰背部痛が出現し、徐々に下肢へ放散する痛みを伴うことが多く、痛む場所は腰椎椎間板ヘルニアの発生した場所によって異なってきます。患者さんを1人ご紹介致します。
(症例) 40歳 男性 主訴:右大腿後面の痛み・腰痛
3ヶ月前から腰背部に重たい痛みがあり、徐々に悪化する。その後、右臀部から大腿の後ろにかけての痛みが強くなり、当院受診となっています。
当院で施行した腰椎MRI矢状面では黄色い矢印のようにL5/S1間で椎間板ヘルニアがみられ、MRI横断面の検査でも矢印のように脊柱管(脊髄が入っているスペース)内に右側からヘルニアが突出している所見でした。
この患者さんは、痛みの強い期間(急性期)は安静・鎮痛剤投与にて徐々に腰背部痛は軽減し、その後、痛みが少し落ち着いた状態になって、牽引をしばらく施行しました。腰痛や臀部から大腿後面のしびれも徐々に軽減していきました。初回検査から1年後に腰椎MRI検査を施行しましたがL5/S1間の椎間板ヘルニアの突出は随分軽快しており、更に横断面では右側からのヘルニアの突出が改善されているのがわかります。
このように腰椎椎間板ヘルニアは80~85%程度は自然経過で改善するものと考えられており、手術以外の治療(安静・鎮痛剤投与など)で改善しない場合には、手術による治療を検討することが一般的です。